障がいのある子どもの心のケアに関する研修会

今日は、静岡総合研究機構のSOE研究助成を頂いて、研修会を開催しました。今回は、県の養護教諭の研修会に講師でお招き頂いた時に、特別支援学校の養護教諭の先生方向けに口頭でご案内させていただいただけで、本当に口コミだけで広報をしただけでしたが、保護者の方、特別支援学校の先生方がご参加くださいました。また、いつもいつも応援してくださるきんもくせいのお母様方が、広報、そして当日のお手伝いまでして下さいました(特に、Sさんには感謝の一言につきます泣!)。お忙しい中、ご参加&お手伝い本当にありがとうございました。

研修では、昨年度まで一緒に共同研究をさせていただいた沼津特別支援学校との研究成果をまずお話ししました。

中越地震の被災地では、障がいのある子どもの心身の変化として、

①障がいにかかわらず、被災した人に共通してみられる変化(例えば、トラウマ反応、避難生活など慣れない生活に伴うストレス反応)

②障がいゆえに起こりやすい心身の変化(例えば、自閉症の子どもには奇声やパニック、こだわりが強くなるなど)

③命にかかわる変化(例えば、てんかん発作が起きやすくなるなど)

が見出されました。

そこで、対策を立てるキーワードとして、

「場所」→安心して避難できる場所

「人」→保護者が不在の時に安否確認してくれる人、片付けなど手が離せない時に少しだけでも子どもを見てくれる人など

「情報」→避難情報、安否情報など。これには受信をどうするかということだけではなく、子どもが一人でいる場合(特に通学時に被災した場合)に、どこにいるのかを子ども側からも発信できるようにする。

をどう確保するかと考えていくということを提案しました。

私は、心のケアを領域としているのですが、こうした防災関連の対策も「心のケア」を考えていく上でとても重要だと考えています。「場所」「人」そして「情報」の体制が事前に整えておけば、要らぬ不安や焦燥感は低減できると考えているからです。

参加してくださった静岡大学教育大学附属特別支援学校のPTAの方々、災害に関する調査を実施してそれをまとめていらっしゃいました。調査では、登下校中や学校での引き渡しに関して家庭でどのような対策ななされているか等について調べていました。静大の附属学校園で、こうした取り組みがなされていることにまずびっくりした!と同時に、頼もしい組織が身近にあったことにうれしくもなりました。灯台元暗しです(笑)。

あと、市内小中学校の特別支援学級に通級している子どもをお持ちの保護者の方もみえられました。研修後、「こんなことを考えてもいなかった。災害の時にどうするかという問題に気づかせてもらえただけでも、今日来てよかった」と口々におっしゃられて下さい、主催者としてとてもうれしく思いました。保護者の方と話をして、特別支援学校よりも、ある意味特別支援学級の子どもの方がなかなか障がいに応じた支援が行き届きにくいのでは・・・と思いました。

少しづつですが、学校の先生、保護者の方、そして地域の方と、静岡県に東海地震が来た時に、みんなで助け合えるシステムができるよう進めていきたいと思っています。

研究を振り返る

無事に、カウンセリング学会の受賞講演が終わりました。始まるまではどきどきでしたが、雰囲気が自主シンポジウムのようで、温かい雰囲気でしたので、とても話しやすかったです。聞きに来てくれた五十嵐先生は、「緊張していたけど、だんだんいつものペースで話していた笑」とコメントしてくださいました。

静岡県臨床心理士会でお世話になっている藁科先生や、静岡県の先生方も聞きに来て下さいました。ありがとうございました。

今回の講演をまとめるにあたり、自分のこれまでの実践や研究をもう一度体系的に捉えなおして、今後どういった方向性に進めていくかを、まとめるよい機会になりました。Cimg1922_4  

私の研究・実践において、まず状況に応じた3つの柱があります。

スクールカウンセラーとして活動する、いわゆる「日常のスクールカウンセリング」です。子ども、保護者の相談です。

これに「予防」の視点から、「心理教育プログラム」に関する研究および実践があります。このブログでも何度も報告していますが、SSTやVLFプログラムなどです。対処ではなく、予防をどうするのかということです。

そして、学校では、残念なことですが、子どもが巻き込まれる犯罪、そして自殺などが起こることも珍しくなくなってきてしまいました。そして、災害なども日本に住んでいればいつどこで起こるかわかりません。こうした「危機発生時の心のケア」に関しても、学校カウンセリングの研究や実践では重要だと考えて、これまでに行ってきました。

この3つの柱について、「教師へのコンサルテーション」をそれぞれどう進めていくか、という研究の視点が入ってきます。今、実施しているSSTも、子どもだけ見るのではなく、TAや先生方にどのようにフィードバックしていくとよいかというコンサルテーションに視点からも、いろいろと工夫をしています。

こうした点を全部ひっくるめて、「包括的な学校カウンセリング」ということで講演させていただきました。このスライドを作っていく作業で、すごく自分のポジションが明確になった感じです。今後は、「心理教育プログラム」「危機介入」、そしてこの点に関する「教師へのコンサルテーション」を中心に、しばらく研究・実践をしていこうと思っています。

SST Session1終了

金曜日に無事にセッション1が終了・・・

3時間目に全クラス一斉に授業がスタート。

私は全クラスの授業の様子を廊下からのぞかせてもらった。

先生によって授業の雰囲気がかなり違う。セルマン先生が、昨年のAMEで学級の雰囲気を重視した内容の発表をしていたのもよくわかる。この点についても、今後研究してみたい点だ。

指導案や教材に関する変更点もいくつか見えた。先生方によって意見や感想も違ったりして面白い。「なるほど・・・」と思う指摘も多く頂いた。

午後には、相談室&保健室登校の生徒を集めてSSTを実施した。授業者は私・・・。カウンセリングしている生徒が多かったので、リラックスできた反面、彼らの前である意味「先生」として前に立つことにちょっと葛藤した。最初から学生TAに授業者をやってもらうことも考えたけれど、彼らも少し緊張するだろうと思った。なので、普段接している私が最初に授業者をやって、彼らがSSTの雰囲気に慣れてきたら学生TAに代わってもらうのもよいかと考えている。いつもと違った彼らの一面が見れて、私も楽しかったし、子どもたちの理解が別な視点から少し深まった気がした。しばらく、こうした取り組みが一対一の面接プロセスにどう影響するのかも注意深く感じ取ろうと思っている。

夕方、永山君と望月さんと次のセッションの準備をしながら、いろいろと話をした。TAの学生たちも学びの多かった1日だったよう。

公開研究授業を入れるとあと7日・・・

長い?短い?

すべてが終わった時に、学生たちとすごい達成感が味わえそう。

秋も深まり・・・

T中でのSSTプロジェクトがいよいよ今週金曜日からスタートします。準備も一段落して、あとは授業を待つのみとなりました。準備だけでもげっそりです。私は生まれて初めて、胃痙攣なるものを体験してしまいました(笑)。

学校の先生方との打ち合わせも紆余曲折あり、学校全体で一斉にこうしたプログラムを実施する時は、いろいろとくぐり抜けなくてはいけないハードルがあるのだと改めて実感しました。T中は、私がSCとして勤務させていただいてる中学校で、今年で4年目。そういうこともあり、先生方からの本音の意見を聞かせていただけるので、とてもありがたく思っています。トップダウンの実施もありですが、実際にやる先生方の状況や本音なども聞きながら、知りながらプログラムを展開していけるので、私もやりやすさを感じています。T中の先生方にとにかく感謝です!

ただ・・・これからが本番です。実際に授業をするのは先生方ですので、どうサポートできるかが勝負です。静大TAチームで一丸となってがんばろうと思っています。

今週末の11月23日には、日本カウンセリング学会第41回大会で、16:30から松原記念賞の受賞講演があります。今、そのパワーポイントをせっせと作成しています。30分程度の持ち時間しかありませんが、コンサルテーションに関する博論の内容のアウトラインと、(他の学会派遣ですが!)四川の活動を少し紹介しようと思っています。わざわざ聞きに来てくださった方に、うまくお伝えできるとよいのですが・・・。学会に参加する方で、興味があればどうぞ聞きに来ていただけたらと思います。

24日には、日本学校心理学会の総会で、大会継続発表賞を頂くことになりました。昨年はカウンセリング学会からも頂くことができ、コツコツと研究発表をしてきた「ごほうび」が2年連続で頂けてとてもうれしく思っています。研究や実践をコンスタントに発表していくことを大切に、今後も続けていきたいと考えています。

4163u3bwpgl__sl500_aa240_あと、少し前になりますが、徳田克己先生のご指導で「ヒューマンサービスに関わる人のための障害科学」を執筆させていただきました。 また、島田先生と徳田先生が編者になった「入門心理学」も先日、出版されました。

原稿を書くのはとても大変な作業ですが、いろいろと調べていくことがとても勉強になります。今年度中に、執筆させていただいた書籍が2~3冊ほど出版される予定です。来年度こそは、コンサルテーションに関する書籍が出せるとよいな・・・と密かに願っている今日この頃です(笑)。

屋久島で教育講演会

昨年に引き続き、屋久島の教育講演会に講師としてお声をかけていただいたので、先週屋久島に行ってきました。昨年は小学校のみの開催でしたが、今年は小中学校PTAの合同開催となり、小学校・中学校のPTAの皆さんが半年以上も前から準備をして下さいました。本当にありがとうございました。

合同開催ということもあり、2日連続の教育講演会となりました。一日目は、小学校PTAが中心となった「話の聴き方」です。四川への派遣でご一緒させていただいた立正大学の小澤先生と、カウンセリング演習のやり方について議論をしていた時に、いろいろと教えていただいた内容も含めてみたものです。演習形式を多く取り入れていることもあり、とても好評だったようです。Img_83801あと、講演をしていて実感したのは、保護者同士が知り合いということもあって、「雰囲気がいいなあ~」と感じて私もリラックスして、お話しさせていただくことができました。「冷たい聞き方」というところは、普段の子どもとの関わり方について振替させられることが多かったようです。私が「こうしろああしろ」というのではなく、ワークを通して普段の自分の関わりについて「気づく」というプロセスがいいな~と考えています。

2日目は、中学校PTAが中心となった「思春期の心理」についてです。十八番の風船などの教材を使ったレクチャーをしました。「視覚的にイメージできるのでわかりやすかった」と多くの感想を頂きました。 Img_84431 Img_84541

→校長先生方にも、積極的にご意見を伺いました。先生方の回答に、会場が笑いや「なるほど」という雰囲気に包まれました。

今回の教育講演会で、うれしい再会がありました。私は静岡大学に移る前は、千葉県にある国際武道大学で教鞭をとらせていただいていました。その当時の教え子が、屋久島の中学校にいたのです。Img_84411_2 そのH先生は、今回の教育講演会の案内を見て、部活動を終えてから他の中学校に勤務していますが、わざわざ聞きに来て下さいました。そして手元には、私が授業で使っていたテキスト(ヒューマンサービスに関わる人のための学校臨床心理学)も持参してくれていて、とてもうれしくなりました。こうして教え子たちが、学校現場で頑張っている様子を見れることはとてもうれしいことですし、私も負けていられないなという元気をもらいます。本当にいい先生になってほしいな~と心から願っています。(写真はお手伝いをしてくれているH先生)

今回の合同研修会には、安房中PTA研修部の小原氏、安房小研修部の菊池氏、日高氏、安房小中の先生方をはじめとする多くの方のサポートを頂きました。心より感謝申し上げます。屋久島から様々な情報発信をしている菊池氏は、日経BPに今回の教育講演会に関することを記事にUPして下さいました。こちらもどうぞご覧下さい。(菊池氏のブログ 11月10日の記事に載っています。→屋久島メッセンジャー。このブログの写真はすべて菊池氏が撮影してくださいました。)

こうした出会いを大切に、少し役立って、ちょっぴり笑って元気になるような、お話しがもっともっとできるようがんばっていきたいなと思った今日この頃です。

PS 菊池氏の著書はとても面白いです。屋久島への移住そして暮らしがのんびりとつづられています。読んでいて、屋久島の自然の中でお子さんが豊かに育まれているな~と思いました。興味のある方はぜひ!→屋久島で暮らす

小原氏のブログにも載せていただきました!