ソーシャルスキル教育の実践

11月から12月にかけて、計5回のソーシャルスキル教育を清水区内の中学校で行いました。授業者は担任の先生方です。子どもたちのためにも学年で取り組んでみたい!という強い強いご希望があり、その熱さに胸を撃たれた私は「やりましょう!」と(笑)。そして、このSSTをコバ研でサポートすることになりました。

11月に教員研修を行い、SSTの理論的背景や授業を行っていく上でのポイントを具体的に説明しました。先生方からもいろいろな質問や意見が飛び交いました。正直、教員研修の最初の雰囲気はとても固かったのですが、3時間ほどかけて話し合う中で、学年の先生方が「やってみるか!」という雰囲気になってきました。スクールカウンセラーのAさんも、わざわざ勤務時間を調整して、SSTの授業に参加してくださいました。

5週連続の授業で、かつ学年5クラスが同時に行うため、学生3名がTAで入り、残りの2クラスは、T中SSTの際に作成したモデリングビデオを用いました。

授業の前の昼休みには、授業者の先生方と10分くらいで軽い打ち合わせをしました。毎回の授業で、落してほしくないポイント、想定される生徒からの質問や意見などをお伝えし、それぞれのTAと細かい打ち合わせをするという流れです。先生方は、前日に指導案を読み、学年の先生方で意見交換をして、盛り上がったという話を聞きました。忙しい中、先生方も一生懸命にやってくださっている様子に本当にうれしい気持ちと、こちらも一生懸命サポートしたいという気持ちになりました。

今回、学生の体調不良等が重なり、私が急きょ、ピンチヒッターでTAとなり、担任の先生と授業をやらせて頂きました。これがおもしろかったのです。クラスによって生徒たちの雰囲気は異なり、ロールプレイの様子も違っていました。また、SCをやっていることもあり、個別に関わっていくと、いろいろな子どもの様子がわかってきて、そのやりとりで気になった生徒とちょっとじっくり関わったりすることもできました。

授業の後は、コーディネーションをして下さっている先生方と事後研を毎回行い、授業の展開で気になったことや、気になる生徒の情報交換なども行いました。

連続5週間でしたので、あっという間に終わってしまった感じです。今回、事前と事後でアンケート調査によるデータをとっているので、その解析して、先生方に生徒の変化について報告する予定でいます。あれだけ先生方ががんばったのですから、生徒によい変化が起きているとよいなと感じています。

5回のプログラムをやって思うのが、やはり最低でも4回以上は繰り返さないと、先生も生徒もSSTがしっくりこないのではということです。4回くらい授業を行うと、SSTの考え方(うまくやるコツがある、練習すればうまくなる…etc.)がなじんでくることだけでなく、モデリング、ロールプレイといった流れやどこを見ればいいのかのポイントもわかってくるので、授業がしっくりとくる感じがするのです。ここは感覚でエビデンスはありません(笑)やはり、こうした心理教育プログラムを1回やってみるだけではもったいないと思います。そして思うのが、やはり先生方がこうしたプログラムを「やってみる!」と思って真剣に取り組むことで、生徒に変化が出てくるのではと考えています。ピグマリオン効果のようですね。なので、こうした心理教育プログラムを、どのようにコンサルテーションするかが、やっぱり面白いな~と思いました。

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悲しみ

今日、一枚のはがきが届きました。

それは、私が大学院時代からお世話になっている栃木県足利市にある「こころみ学園」の川田昇園長先生が、12月17日に90歳の天寿をまっとうされたというご連絡でした。

先生がお元気だった姿を思い浮かべ、涙がぽろぽろでてきています。

私が院生だった頃、川田先生は園生さんと一緒に作業をされたり、ベージュ色の車に乗って園内をよく走っていたものでした。

「こんにちは!」と挨拶すると、「うんうん」と笑顔で答えてくれ、時には「せっかくだから飲んで行きなさい」と、ワインをごちそうしてくださったこともありました。

しばらく前に、千葉で2代目?ポレポレクラブを学生たちとやっていた時に、本当にいろいろなことが起きました。時には、その出来事の理不尽さに怒りに燃えることがありました。地域の子供たちのためにやっていることについて、よく実情がわからないにもかかわらずいろいろと批評する人たちの声を聞くと、頑張っている学生たちの姿を見ているだけに、なんとも言えない気持ちになったことが度々ありました。まだ私も若かった?ということもあり、そこら辺は今よりもとても敏感で、熱かったと思います。

そんな時に、川田先生と話したことがありました。川田先生は戦後すぐにこころみ学園を立ち上げ、ずっと今まで施設を守ってきました。並々ならぬ努力や苦労があったと思います。でも、その根底には、障がいのある子どもや人たちが、一生懸命働いて、そして生活できる場を守る・・・そんな思いでこれらの苦労を乗り越えてきたのだろうと・・・。(興味のある方は、川田先生の本を読んでみてください「山の学園はワイナリー」)

川田先生は、いろんな事情を抱えている子どもたちが目を輝かせる場を守りたいと苦悶している、そんな私に一筆書いてくださいました。

今でも大切に研究室に飾ってあります。

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川田先生、どうか安らかにお休みください。

そして、今まで本当にありがとうございました。

先生の言葉を胸に、私がこの世でやるべきことを先生のように粛々とやっていこうと思います。

合掌