故郷の養護教諭の先生方へのサポート

私は茨城県水戸出身です。

あの3月11日、私はSC勤務中で生徒の面接をしていました。長い大きな揺れを感じて、すぐにプレート境界型の地震がどこかで起きたことがわかりました。目の前の生徒と一緒に避難し、保護者の元に返した後、職員室で先生方と一緒にTVを見ていました。

夕方に大きな余震が茨城県で起き、そして大洗港で渦巻く津波の中継を見た時に、故郷に大きな被害が出ているにもかかわらず、ただ見ているしかできないことが悔しくてなりませんでした。そうした自分をふと冷静にみた時に、自分は茨城に特別強い思いはないと思っていたのですが、今回の震災で故郷のために何かしら役に立ちたいと言う思いが自分にもしっかりあることを感じました。

その後、様々なご縁で導かれるように、茨城県の支援者の方々をサポートさせていただく機会を頂きました。その中で、茨城県教育委員会の依頼で、茨城県のすべての養護教諭の先生方の研修を担当させて頂くことになりました。数回に分けて実施し、今日でそのすべてが終了しました。

研修では、「支援者のための災害後のこころのケアハンドブック」を用いて、今後予想されるストレス反応やその対処、注意を要する点などを、中越地震被災地でのデータや経験をふまえて、中長期的な観点から具体的にお伝えしました。また被害が大きかった地域の先生方の回では、昼休みに「気軽に相談コーナー」を設けて、自由に相談できるようにロビーで待機してお話しを伺いました。全体の場では質問ができないけれども、個人的にお話ししたいと思った先生が多く足を運んで下さいました。生徒指導上でもともと配慮が必要な生徒が、震災の影響で生徒や保護者がより不安定になるなどのケースが多い印象を受けました。そうした中、一生懸命対応されている養護教諭の先生方の真摯な態度に、また熱い気持ちになりました。

各学校での対応などが書かれた養護教諭の先生方の報告を見せて頂くと、被害が大きかった地域を中心に様々な対応をされていらっしゃいました。ただ、事前の対策が不足していたことを反省している先生も多く、災害が起きてからではなく、事前に予測して準備しておくことが非常に重要であることを改めて確認しました。こうした経験は静岡でも活かしていかなければなりません。

今回の一連の研修は、茨城県すべての養護教諭の先生方の研修会でしたので、自分の母校の先生がいらっしゃいました(もちろん自分が在校していた時の先生ではありませんが笑)。それがとても不思議な感じがして、故郷のために自分が少しお役に立てているのと思うと少しうれしくなりました。またSCとして初めて勤務した学校でご一緒に活動させて頂いた養護教諭の先生とも久しぶりに会えて、いろいろと積もるお話しもできました。

今回、茨城への支援を強く考えていたのは故郷と言うことはもちろんなのですが、「被害が大きいところだけに支援を求めている人がいるわけではない」という体験に基づいています。今回の震災は、岩手、宮城、福島の被害が大きいため、どうしても目が行きがちになり、なんとなく茨城はカヤの外になっています。

私たちが中国・四川の避難キャンプで活動した時に、中国の心理支援ステーションの脇のテントで生活していた子どもに震災の影響が強く出ていました。しかし、その時に専門家の支援は届いていませんでした。そのため、日本チームで滞在中はその家族に関わらせてもらい、サポートをしました。その時に一緒に活動した高橋先生が、「被害が大きかった人に目がいきがちだけど、その側で実は声をあげずに症状が大きく出ている人もいる。そうした人たちにも目を向ける必要がある」と言っていました。私もその家族を前にしてその重要性を実感しました。

なので、今回、茨城を支援したいとより強く思ったのです。

様々な形で今後も故郷の茨城を支援していきたいと考えています。

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