今年度は、これまでにやったことがなかったことに挑戦する。
それは、国際学会での発表。もちろん、英語・・・。
国際学会で筆頭発表者として発表するのは今回が初めて。なので、とまどうことがあった。
日本の心理系の学会では、学会発表に関して事前の審査はない。なので、会員が発表したいと手をあげれば、誰でも発表できる。けれども、今回発表する2つの学会は、事前審査があり、英文のサマリーを送ってそこで採択されて、初めて発表できるシステムなのだ。
英文を送ってから審査結果が出るまではどきどきだった。特にAPAは審査で落とされることも多いと聞いていた。世界中から発表する人が集まるのだから、ある意味審査をしないとすごいことになるのだろう。
お陰さまで2つの学会とも採択され、発表することになった。
まず7月に、Association for Moral Education (AME)で発表する。
内容は、昨年度取り組んでいたT中のSST実践について。
Kobayashi,T. & Watanabe,Y. (2009)The practice of social skills training in a Japanese junior high school: A focus on “emotion”
8月には、American Psychological Association(APA)で、四川大地震被災地での日本チームの支援活動について発表する。
Kobayashi,T. Yuanhong Ji, Tominaga,Y. &Takahashi,S. (2009)Japanese Psychological First Aid of Sichuan earthquake in China
冨永先生、高橋先生を初めとする先輩方が実践してこられた日本の被災地支援の方法は世界で誇れるものだ。だけれど、なかなか世界(特にアメリカ)に向けて発信する機会がなかったようだった。なので、第一次派遣からの盟友 吉先生と「アメリカに向けて日本の被災者支援をアピールしたいね」と前々から話をしていた。先輩方の業績をアメリカの研究者、実践家に伝えたかったのだ。
心理療法をはじめとして、トラウマケアなど、日本の臨床心理学においてカウンセリングやアセスメントの多くが「輸入もの」だ。四川の被災地に行くまでは、そこにあまり違和感を感じてはいなかった。けれども四川での支援活動で、ディブリーフィングを適用することによる弊害、「死」という宗教的な背景がどうしても避けられない場面に出くわすことが多かった。その時に、文化的背景、生活習慣、宗教が異なる環境で編み出されたケアのやり方が、すべての地域、国でそのまま適用されていいのか・・・その理論だけが正しいのか、その理論だけがケアの手法なのか・・・と疑問がわいてきた。
アジアはアジアの文化がある。災害の多い日本だからこそ、そしてアジア人だからこそできるケアのやり方がある。こうしたケアのあり方(特に被災地での支援方法)を、日本はもっと欧米(特にアメリカ)に伝えてもいいように思うのだ。
私はまだ先輩方の受け売りのレベルなので、大きなことは言えない。ただ、先輩方の実践を伝えることは私たちにもできる。若武者(!?)は、敢えてアウェイで戦うのだ(笑)。
そのためには、語学力・・・(泣)
ただいま、気合を入れて頑張り始めているところです