学校心理学会での発表

先週末、大阪教育大学で学校心理学会がありました。

そこで、静岡県教育委員会と進めている学校危機に関するシミュレーション研修について発表をしました。
連名発表者のS先生も一緒に発表してくださいました。
今回の発表は、「いじめが疑われるプールでの事故」の架空事例に対して
・どのように対応するか
そして
・どう予防するか
を考えてもらう研修についてです。
2時間の発表時間でしたが、絶え間なく先生方が来てください、活発な意見交換ができ、とても充実した時間でした。

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今年度のシミュレーション研修は、「いじめ自殺」です。

10月に、静岡県内教育委員会の指導主事の先生方を集めた研修で行う予定です。

こうした痛ましい出来事を起こさないためにどうしたらいいのか、「予防」にもじっくり時間をかけて研修を行う予定です。

S先生とのコラボレーションで進めているのですが、

会議はいつも4時間以上かかるのにもかかわらず、その時間があっという間です(笑)

「現場のニーズに沿った研修を作りたい」

「子どもたちの笑顔を守る学校でありたい」

という気持ちの下に、がんばっています。

本当に勉強になり、そして楽しく研究を進めさせて頂いています

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学校危機シミュレーション訓練

昨年度から、分担で担当している科研を使って、静岡県教育委員会と「学校危機シミュレーション訓練」の研修プログラムを作成しています。

緊急事態への対応だけでなく、
こうした事態を起こさないようにするには、どうしたら「予防」できるか?
この点についても、扱っているところが、このプログラムの大きな特徴になっています。
昨年10月に、いじめが疑われるプールでの事故の事例を作成し、市町教育委員会指導主事の先生方の研修会で研修を行いました。
その後、様々な修正を加えたものを、私の研究室HPの「公開資料」にUPしました。
研修などにご活用ください。
この成果は、7月の日本学校心理学会で発表する予定です。
そして、今年度は・・・
いじめ自殺の事例を用います。
研修に用いるため、いじめ自殺に関する判例をいくつも調べました。
過去にこんなひどい事例があったのかと、本当に信じられない事例もありました。
そうした作業を経て、現在、たたき台まで作成しました。
夏にかけて、県教育委員会の先生方と練り上げる予定です。
そして10月に、この研修を実施します。
大変な作業ですが、先生方との協働作業はとても刺激的、かつ楽しくて、時間を忘れて、議論に夢中になってしまいます。
すべては、子どもたちが笑顔で学校でいられるために・・・です

英文雑誌での論文掲載

ご無沙汰してしまいました

その間、いろいろとあり、これもあれも書こうと思いつつ、もう12月になってしまいました。
先月、嬉しいことがありました。
英文雑誌に論文が採択され、掲載されました!
「Health Care」というオープンジャーナルです。
論文は、2009年に実施した中国・四川大地震被災地における子どもの死別体験がその後の問題行動にどのように影響したのかを調べたものです。
Relationship between Children’s Bereavement Experiences due to
Disasters and Behavior Problems
Tomoko Kobayashi, Yuanhong Ji, Xinhua Tao, and Yasuji Ozawa
本当に苦労が多かった研究でしたが、日本や中国をはじめとしたアジア圏の子どもの支援にこの成果を役立ててもらいたいという一念で、頑張りました。
英文雑誌への投稿は本当にチャレンジでしたが、こうして論文ができると本当にうれしい
久しぶりの達成感を味わいました
論文に関するご意見や感想を頂けたら幸いです。

新刊

久しぶりに編著書を発刊しました。

「これだけは押さえたい学校臨床心理学」です。

恩師である筑波大学の徳田先生と一緒に編者をやらせていただきました。

文化書房博文社から、2100円です

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http://user.net-web.ne.jp/bunka/index.asp

多くの先生方にお忙しい中、執筆して頂きました。

ありがとうございました!

徳田先生とのやりとりの中で、久しぶりに院生・駆け出しの研究者なりたての頃の気持ちを思い出しました。

真剣に自分の課題を指摘してくれたり、たるんだ自分の姿を客観視させて下さる師匠を持てることは、人生でとても幸せなことなのだと、また改めて感じました。

そして、私もそう言われるような先生になるために、もっと人生修行を重ねなければとまた強く思いました。

PS 小泉令三先生が編著の「よくわかる生徒指導・キャリア教育」の第3版が出版されました。私も緊急支援などを書かせて頂いております。こちらもよろしくお願いします。

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ハンドブックのポルトガル語と中国語バージョンの完成!

昨日UPしました「学校現場・養護教諭のための災害後のこころのケアハンドブック」のポルトガル語と中国語バージョンが完成しました。

こちらもPDFでUP致しますので、自由にお使い下さい、多くの方の支援にお役立て下さい!

こちらも同じく、書籍等への無断転載等はお止め下さい。

●Portugues ver.「ポルトガル語版」
Manual de Cuidados Emocionais Após Desastres Naturais Aos professores das escolas e pré-escolas

https://docs.google.com/open?id=0B9RXvIGSvyaUa1l5MVhxYktRYi1HM2FmUFRnd2V5Zw

●Chinese ver.「中国語版」 针对学校・教师的灾后心理援助手册

https://docs.google.com/open?id=0B9RXvIGSvyaUSTVaWnU4cElSUS1pc2EyQ2FjOW9zdw

ポルトガル語の翻訳には同僚の静大教育学部のヤマモト・ルシア・エミコ先生に、中国語バージョンは四川大地震の時に一緒に活動した張磊さんに、ご協力を頂きました。

こころより感謝申し上げます!

このハンドブックの外国語バージョンは、静大HPの方にも掲載されています。

もしリンクを貼られる場合には、そちらの方がよいかと思います。

http://www.shizuoka.ac.jp/th_earthquake/eq20120403_careedu.html

こころのケアハンドブックの外国語バージョンを公開します!

こころのケアハンドブックの初版バージョンの「学校現場・養護教諭のための災害後のこころのケアハンドブック」の英語バージョンを作成しました。

PDFにてUPしますので、どうぞご活用ください!

ただ、版権は静岡大学にあります。ダウンロードやコピーは自由ですが、書籍等への無断転用はお止め下さい。

Japanese [学校現場・養護教諭のための災害後のこころのケアハンドブック」

English [Mental care for children after disasters for teachers and school nurses]

https://docs.google.com/open?id=0B9RXvIGSvyaURmw0OHloM3lRb2VjNHEzR0FGOXFMdw

翻訳にご協力頂きました以下の皆様に、ここに記して感謝申し上げます。

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Special Thanks !

Ms.Shizuno Seki, Lecturer at Shizuoka University

Ms. Takako Kozima,Lecturer at Shizuoka University

Ms.Heike Walter, International student at Shizuoka University

Mr.Nicholas Gran, International student at Shizuoka University from University of Nebraska-Omaha

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「養護教諭のための災害対策・支援ハンドブック」が完成!

2010年度から静岡県養護教諭研究会と一緒に、災害時の養護教諭の動きに関するハンドブックの作成を行ってきました。東海地震に備えて、東日本大震災の前から動いていました。

ハンドブックの作成委員会になった県内の各ブロックから選出された養護教諭の先生方と、時に朝から晩まで缶詰になって、「養護教諭のための災害対策・支援ハンドブック」の執筆と編集作業を進めてきました。

各先生方のがんばりもあって、なかなかの出来上がりです。

内容は、救護、衛生管理、健康管理、心のケアなど、災害時に養護教諭が関わるであろう内容について、時期に分けて解説してあります。

時期は、災害が起こる前、発生1週間、1週間から1ヶ月、1ヶ月から3ヶ月、3ヶ月から6ヶ月とに分けてあります。

東日本大震災の最新知見も取り入れるようにして、放射性物質に関する保健だよりなども入れたり、兵庫教育大学大学院の冨永先生にもアドバイスを頂き、岩手県での心のケアに関する情報なども入れてあります。

とにかく、災害時に読まれることを想定して、「簡潔に、わかりやすく」をモットーに、項目を箇条書きで書き、実行すればそれをチェックしていけるようになっています。

また、様々な資料を巻末に入れてあります。例えば、災害後の「保健だより」の例をいくつか作ってあり、極端なことを言えば、学校名と日付を入れればそのまま出せるというものです。衛生用品の作り方や、救護時に使う情報カードなどもあります。

こうした資料の一部は、付録?のCDに入っていますので、それをもとに資料を作成することも可能です。

災害時の養護教諭の先生方の仕事の量は半端ありません。中越地震4年後の教師のPTSDに関する調査結果から、養護教諭の先生が最もIES-R得点が高かったことがわかっています。(小林朋子(2010)新潟県中越地震5年後の小中学校教師の外傷性ストレス,日本トラウマティックストレス学会抄録集,P96)

そのため、養護教諭の先生方が、

「何をすればいいのか」がわかり、少しでも(いい意味で)楽できるようにとの思いで作成しました。

実は昨年12月に完成したのですが、あっという間に完売し、第二弾の印刷が2月にあがってきました。

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静岡県学校保健会が、静岡県内の学校用として1冊配付してくださることになりました(静岡県内の義務教育 小中学校、県立高等学校、特別支援学校、静岡県学校保健会加入の私立 小中高等学校に配付されます)

近日中に、静岡県養護教諭研究会のHPからも注文できるようになるとのことですので、興味のある方はぜひ手に取ってみて下さい。

静岡県養護教諭研究会

http://s-tachibana.sakura.ne.jp/

スクールワイドのSST実践

今年度、静岡県教委の依頼を受けて、沼津市内のO中学校にて全校一斉のSST授業のサポートをコバ研で行いました。学年やクラス単位の実施は多くありますが、全校一斉というのはなかなかなく、私もT中以来となります。T中と同規模の17クラス一斉の試みです。

ほぼ同じプログラム内容ですが、生徒や先生が違いますので、それがどのように違ってくるのか、楽しみでもありました。

3年生もSSTのデビューということで、4年生と夏くらいから勉強を進めたり、モデリングの練習を重ねたりして準備を進めてきました。

学校の方では、8月に校内研修を行い、授業者である担任の先生方にSSTの理論や進め方についてレクチャーを行いました。

今回の実践は、9月末から11月にかけて計5回のプログラムで、内容は「10代を育てるソーシャルスキル教育」をベースとして、学級の実情に応じて担任の先生方が工夫して下さいました。

授業は・・・

第1回「ソーシャルスキルについて、自己紹介」

第2回「話すスキル」

第3回「聴くスキル」

第4回「感情のコントロール①」

第5回「感情のコントロール②」

です。

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<生徒と一緒にモデリングを行ったりしました。生徒はしっかりモデリングをしている友だちの様子を見ています。ただ・・・事前の仕込みは必要です笑>

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<学生TAがモデリングを生徒に見せています>

授業を5時間目に行い、帰りの会を終えた後は毎回、校内研修を行い、反省点や工夫点、作成した教材、などを先生方と学生TA全体で共有しました。そして、私から先生方の意見や質問についてコメントをさせていただき協議した後、次回の授業のポイントをお伝えするというもので1時間ほど時間をかけて行いました。

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<お忙しい中、生徒の実情に応じて、工夫した掲示物やワークシートを作ってくれた先生が多くいらっしゃいました。感謝です!>

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<授業を通して先生方からいろいろな意見がでてきました。私もとても勉強になりました>

そしてさらに・・・

「ワンポイント講座」というものをその後30分ほどやり、任意で参加された先生に「維持・般化」を促すための行動の捉え方や、関わり方について、講義やディスカッションを行いました。これは、プログラムの効果を促進する要因の一つに、授業をやった後の教師の関わりが非常に重要であると考えたからです。

現在、プログラムの効果をソーシャルスキルをはじめとする様々な変数でとっているのでその解析を進めているところですが、元々、ソーシャルスキルが低い生徒に様々な変容が見られていることが確認されています。

この結果は、来年度以降の学会で発表していく予定です。

とにかく、お忙しい中、教材研究や授業準備を頑張って下さったO中の先生方、お疲れさまでした!

連載開始

静岡県出版文化会が出版されている静岡県内の先生方向けの雑誌「教師の広場」に、「教職員の心の健康づくり講座」というテーマで今年度から連載させて頂いています。季刊発刊の雑誌なため、来年度いっぱいの計8回です。また、保護者向け雑誌「ファミリス」にも子どものケアというテーマで、インタビューして頂いた内容を連載記事にして頂いています。

「教師の広場」の連載第1回は東日本大震災直後の発刊と言うこともあり、震災後のケアに関する内容にしました。

第2回は、ストレスのメカニズムについてわかりやすく解説し、次回号はストレッサーについて書きました。8回までに、コーピングや実際のストマネの方法などをイラスト付きで解説していく予定です。

すでにSC勤務校の先生をはじめ知り合いの先生方には、「見たよ~」と言って頂きました。SC勤務校の校長先生には、「写真が違う!」と、うれしいのか悲しいのかそんなコメントも頂きました(見て下さった先生はどう思いますか?笑)

県内の先生方、ぜひ一度ご覧いただき、感想などを教えて頂けたら幸いです。

社団法人静岡県出版文化会 http://www.syutubun.com/index.htm  

SST本

以前、出版させていただいた「10代を育てるソーシャルスキル教育」が、お陰様でとても人気です。研修会で紹介させて頂くと購入希望の先生が多く、とてもうれしいです。

少しでも安くお手元に届くよう、割引ちらしをUPさせていただきます。ぜひご活用ください。

「20110828093522.pdf」をダウンロード