一番、新しいハズなのに・・・

先日の地震・・・

研究室の様子です。

家では本一つ落ちなかったのに、研究室は本が1m近く飛んでいました。

千葉でSCをしている時に、離任時に先生方から頂いたウエッジウッドの素敵な写真立ては、重さがあるせいか、1.5m近く飛んでいて、一部が壊れていました

学生向けの本や、生徒指導・教育相談に関連するマンガなどがおいてある本棚はガラス戸が全開で、何冊か外に出ていました。

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研究室の様子をよくよく見ると、北-南方向の強い揺れが起きて、北もしくは南を向いている物が落ちていることがわかりました。

本棚の近くでは普段、コバ研の学生が作業をしているところです。もし作業中に地震が起きて、本などの物が頭にあたったら大変だなと思いました。本が崩れてこないような措置を、防災の専門の先生に伺おうと思っています。

それにしても、私の研究室のある教育学部L棟は、教育学部の建物の中で最も新しい建物で、普段、「ここは絶対に崩れないよね」といわれているところです。なのに、もっと古い建物に研究室のある先生のところでは、こんなに本が飛ばなかったそうです。

う~ん・・・

御前崎での活動

駿河湾地震は、中越地震と同じ規模だったそうですが、被害が少なく済みました。これも普段の防災意識の高さが大きかったと思います。

私はちょうど、APAを終えて、バンクーバーから成田に向かう飛行機にちょうど搭乗するために並んでいた時に、空港のTVが速報としてテロップを流しました。それに気づいて、すぐに日本に電話をしたところ、静岡で地震があったとわかりました。連絡を取りたいと思いながらも、航空会社の人からは「すぐに飛行機に搭乗して!」と言われ、なんとも言えない気持ちで飛行機に乗りました。10時間近くのフライトでは、一切、情報が入らず、同僚、ゼミ生や卒業生、T中の先生方や生徒たち、カウンセリングで関わってきた卒業生たち・・・いろいろな人の顔を思い浮かべました。そして四川の情景が浮かび、あのような光景が静岡で広がっていて、みんなにもしものことが遭った時に、私はそれに耐えられるだろうかと考え、涙が出てきました。

本当に、なんとも言えない、本当にいやな時間でした。情報が入れば、杞憂になるのですが・・・。成田に着いて、情報が入ってくると、思ったよりも被害がなく、とてもホッとしました。情報の大切さを身にしみて感じました。

そして先週の土曜日に、危機管理局のアドバイスを頂き、静岡県臨床心理士会の代表幹事の人文学部の江口先生、会員の石渡さんの3名で、御前崎災害ボランティアネットワークの方と一緒に区長宅を回る活動についていかせて頂きました。

御前崎市では、海から山に向かって帯状に被害が集中していました。「断層なのかな」と話をしていたのですが、よくわかりません。被害は、屋根のかわらが落ちたり、割れたり、ゆがんだりしたり、建物に亀裂が入ったりするものでした。落ちたかわらで、人的な被害が出なかったことが何よりでした。P81503331 P81503271

巡回しながら、県士会被害者支援委員会で準備した資料(ストレス反応とその関わり方)をお渡しする活動をさせて頂きました。
その中で、少ない数ではありますが、夜眠れない、子どもがべったりくっついてきて甘えてくる、地震発生時にいたトイレに入れない、といった訴えが出てきました。
ただ、いずれも生活に支障がでるレベルではなかったため、その場で簡単にアドバイスをして、もし気になるような場合にと、牧之原市の相談窓口が書いてある資料をお渡ししました。
またこの活動の様子について、NHK静岡の記者の方がまとめてくださり、次の日の全国版のニュースで流れたそうです(早朝だったそうで、私は見ていないのですが・・・苦笑)

また今日になって、健康相談センターの保健師さんより連絡を頂き、県士会で個別相談に対応してもらえるのかという問い合わせがありました。少しではありますが、センターに相談が来ているようで、保健師さんたちが対応にとまどっているようでしたので、電話にてコンサルテーションを行いました。

まだまだ心のケアの体制にも課題がたくさんあるのを実感した活動でしたが、まずは今回の地震を足掛かりにして、「何ができるか」を県内の臨床心理士の中でも考えていけたらと思っています。

今回、思ったのが、自主防災組織や災害ボランティアネットワークの活動が素晴らしいことです。今回、ご一緒させて頂いた御前崎地区災害ボランティアネットワークのOさんは、地域のキーパーソンである区長さんや組長さんとしっかり顔が見える連携をしていて、気軽に話ができていました。こうした平時のやりとりがないと、こうした緊急時に動けないんだなと思い、その重要さを実感しました。

今後の地震に備え、いかに顔がわかる連携を進めていくか・・・これを一つのミッションとして頑張っていこうと思っています。

無事です

静岡で大きい地震がありました。

心配してくださった皆様ありがとうございます。

私もゼミ生も、そして卒業生も、無事です。

物的な被害も少なく、ひとまず安心ですが、一人の方が亡くなられたという報道に胸が痛みます。私たち臨床心理士は、「被害が少なくてよかったね」と終わるのではなく、一人でも家族の亡くした方の悲しみに寄り添えたらと思っています。

いよいよ東海地震が来たと思いましたが、それではないようです。あと1か月近くは大きい地震もくる可能性があるとのことです。心のケアに関する、いろいろな課題が今回見えてきています。今、このタイミングで進められることはやらなければいけないと思っています。

発表して・・・

APAでの発表が無事に終わりました。

アメリカ、カナダ、ドイツ、韓国、そして中国の研究者が聞きに来てくれました。中には、9・11後の消防士のケアを担当している教授の方や(少しワインを飲んでいましたが笑)ドイツ軍で心理学者をしている方など、日本の学会ではなかなか会いにくい研究者の方と出会えたのがうれしかったです。

来て下さった方からの質問としては、

・日本のPFAの特徴 アメリカのPFAとの違い

・どのようなストレスマネージメント法を使っているのか?

・評価が研修直後に行っているが、フォローアップの評価は行っているか?

・PFAの内容はどの研究を参考にしているのか?

・中国人と日本人では、同じプログラムをやって違いがあるのか?

といったような質問がありました。

特に、「動作法」を取り入れたストレスマネジメントに関する質問をとても多く頂きました。やはり自分たちのオリジナリティをどう出すかは、それをどうエビデンスを基に提示するかが、とても重要なんだと思いました。日本の場合だと、あるやり方を考えて、その方法を1ケースへの適用で発表してもある意味OKですが、やはりそこはエビデンスの国。しっかり臨床的な方法に関しても、そのオリジナリティやエビデンスをみなさんしっかり質問されてきました。

どうも臨床的な手法に関すると、エビデンスをとることに関して、「これは臨床だから、なかなかかちっとした研究データをとることは難しい」という発言をときどき聞きます。確かにそうした部分はあると思いますが、それを理由にして、「どうしたらエビデンスを基に議論できるか」というアイディアを生み出すことがおそろかになっているように感じます。いろいろなアイディアを考えたけれども、この条件でエビデンスベースでやりにくいので、そのためこうした研究方法をとる・・・というように考えないといけないことを、また改めて実感をしました。最初から、エビデンスは難しいんだよね・・・と言い訳にしたくない、しないようにしようというのが、今回、実感したことの一つです。

発表の最後に、アメリカ在住の中国人の研究者がいらしてくださいました。笑顔の素敵なとてもチャーミングな方でした。四川省出身で、親族の方が被災したそうです。アメリカから助けに行きたかったけれども、子どもとかがいて難しかったそうです。なので、こうした日本からの支援を心から喜んでいて、「私にできることがあったら言って下さい!」と申し出てくれました。アメリカの資料なども気軽に送ってくださるそうです。なんとも心強いサポーターです。

もっともっと、いろいろな研究者と話がしたい・・・そう思いました。

以前、私がアメリカのワークショップに参加している時に、ふと作った俳句・・・(笑)

「話すこと、理解すること、それだけで、できるとうれしい 人との会話」

やっぱり、もっと英語をやらねば・・・これは引き続き、私の課題です(笑)

APA

トロントにいます。

今日は、APA1日目でした。プログラムを見て、自分の興味のある分野のセッションがあるかどうかを確認するだけでも一苦労です。

インターネットを介したいじめに対象するプログラム、podcastを使った学習方法など、新しい試みなどが結構多いです。また、トラウマ関連の研究発表も非常に多いです。戦争の紛争地域の違い?、そして帰還兵のケアなどがシンポジウムとして取り上げられています。日本の学会ではなかなか触れられないテーマです。

トラウマの臨床に関しては、やはりCBTが多い印象を受けています。APA全体でも臨床系のテーマが多い感じで、領域の偏りを感じています。

明日はいよいよ発表です。AMEから1か月おいての発表なので、国際学会の雰囲気にもだいぶ慣れてきました。がんばってきます!

SST校内研修

先日、SCとして勤務しているT中学校の校内研修がありました。

昨年に引き続き、SSTを実践するのですが、今年はさらにSSTを教育課程に位置づけています。より先生方が「自分のもの」としていただくために、どのような研修をやるとよいかについて研修主任の先生と話をしていました。

昨年度は、こちらが用意した指導案をベースとして、個々の先生のアイディアを取り入れてもらい授業を行ってもらいました。けれども、どうしても先生が「受け身」になってしまうという課題がでてきました。なので、今年度は、1から指導案を作って頂くことにしました。

まず、6月にmmm先生がSSTの模範授業をやってくださいました。それを先生方全員で参観しました。そしてその後に事後研を行って、今年から新しくいらした先生方にSSTとは何ぞやという解説と、昨年度からいらっしゃる先生はSSTに関する知識をもう一度再確認する作業を行いました(この解説は私が担当をさせて頂きました)。

そして7月に入り、学年ごとに、子どもたちにアンケート調査を実施して実態把握をしました。その結果をまとめて、その結果を基に、子どもたちに身につけさせたいスキルを先生方が話し合いました。そしてそのスキルを基に、学年の先生が2つのグループに分かれて、指導案を作成しました。ここまでが研修主任の先生が中心となって、先生方だけで行いました。

その力作の指導案が、研究室のFAXにガンガン送られてきた時はびっくりしました(笑)。ただ、共通してみられた課題点として、モデリングの構成の仕方がありました。

悪いモデル→どこが悪いか指摘させる→どうすればいいか考えさせて→指摘させる

という流れでした。これはOKです。

ただ、望ましいスキルの「型」をもう少し練る必要がありました。

これを明確にすることで、授業で生徒に何を伝えたいのか、身につけさせたいのかが教師もはっきりしますし、子どもたちも理解しやすいからです。

例えば、「いやな申し出についてはっきりと断る」というスキルであれば、

非言語的なポイント(目を見る・真剣な表情・・・etc)

言語的なポイント(「いやだよ、やりたくないよ」)

何をどうするとよいのかを、生徒たちの発言から指摘されてことがいいのですが、それが出てこない時に、「こういう点もあるよね」と教師から提示する必要があります。

なので、オリジナルで指導案を作成する場合には、「何をどのようにすると望ましいのか」という点を、教師がはっきりとイメージしておく必要があります。

そこで、そのポイントをもう少し明確にしてもらうために、各学年で話し合って頂きました。さすがに、少し説明しただけで、何を言いたいのかが先生方が理解して下さっている感じを受けました。1回きりの研修を担当した時と、全く違う感じです。ここまで来ると、「先生自身が自分でSSTの指導案を作成することができてくるんだよな・・・」、と思いました。

各学年でディスカッションして頂いた後に、全体で共有するために板書をしてもらい、それぞれにコメントをしました。先生方がホワイトボードに書いた生徒に身につけてもらいたいスキルを眺めると、共通したテーマとして、やはり「感情」をどう扱うかが大きく関与していることがわかりました。特に、「怒り」です。

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確かに、SCとして生徒たちと関わる中で、この「怒り」の感情の扱いは本当に支援すべきテーマの一つです。先生がといろいろと協議し、指導案が固まってきました。実践は、9月、運動会が終わってからスタートの予定です。10月下旬には公開研究授業(注 本校は文科省もしくは委員会の指定校ではありません)が行われる予定です。

昨年に引き続き、私も相談室・保健室のSSTもやりたいな~と思っています。楽しみです

特別な支援

学会シーズンに入ってきました。

あさってから、APAに出席するためにトロントに行ってきます。AMEの時に比べて緊張はだんだんと少なくなってきていますが、また言いたいことが伝えられない欲求不満をたくさん味わってくるのでしょう・・・(苦笑)。今回の発表は、四川大地震の第一次派遣の支援内容についてとその評価に関してです。

APAから、今日プログラムが届きました(本当にぎりぎりです笑)。電話帳です。これでプログラムです。抄録ではありません。本当に巨大な学会です。

今回の学会で、ある先生と会えたらいいなと思っていました。以前、CONSULTATIONに関するレクチャーを受けに、某州立大学のワークショップを受講しました。そのワークショップには、院生や現場の教師向けのものでした。私は、ヒアリングも十分とは言えないので、そのワークショップに参加するまでに、その先生の本をすみからすみまで予習しました。少しでも内容が頭に入っていれば、多少聞き取れなくてもどうにかなると考えたからです。アメリカまで行くのですから、もう必死でした。そして、少しでも学んだことを、現場の先生方とのやりとり、そして子どもたちの支援に結び付けたいという強い思いがありました。

噂には聞いていましたが、アメリカ東部は話す速度が速く、「え?」と思っている間にどんどん話が進んでしまいます。わからないまま進むこともたびたびでした。レクチャーが終わってから、先生に質問をしたりして、わからないことを理解しようとしました。もう一度、予習復習をするために、まっすぐホテルに帰って、ずっと資料を訳したり、テキストを読んだりしていました。

けれど・・・

あるテーマでグループワークをした時でした。それぞれに意見を出し合うのですが、私は言いたいことが自由に言えないでいました。言いたい気持ちがあるのに、きちんと言えない。苦しいのと、情けないのとで、すごく気持ちが落ち込みました。

この時に頭に浮かんだことが、特別な支援を必要としている子どもたちは学校でこういう気分をいつも味わっているんだろうな・・・ということでした。「涙が出るほどいやだろうな」、「わからない自分のことが情けなく思うのだろうな・・・」、本当にいろいろな思いが駆け巡りました。

そして、なかなかうまくいえない私のことを、笑っている参加者がいました(現場の先生だったのが悲しいのですが・・・)。もう涙が出るような思いでした。「日本語だったら、もっと言えるんだぞ!くそーー!!(涙)」。何回か、失笑のような笑いに耐えていた時に、ワークショップの先生がそれに気づいてこう言ってくれたのです。

「何を笑っているんだ?!朋子は遠い日本から、これを学びに来たんだぞ。子どもたちのためにここまで学びに来たんだぞ。それを笑うとは何事だ?!」と、厳しい口調で笑っている参加者に向かって注意をしました。もちろん、その後、何もされることはありませんでした。

そのときに実感しました。

「あ~先生の一言でこんなに救われるんだ」と・・・。

本当に、心からうれしかった一言でした。

その先生は、最後、私が空港に向かいやすいようにと、空港行きの電車が走っている駅まで、わざわざ1時間もかけて送ってくれました。その頃、ちょうど私は博士号を取りたいと思っていたので、「こちらの大学に来てPhDを取れば?」と言ってくれましたが、「私は日本の子どもたちが大好きなのです。日本の子どもたちのために、いつも、その支援を考えていたいんです」と話したところ、「その気持ち、わかるよ」と言ってくれました。

今でもあの時のことをはっきりと覚えています。自分が慣れない環境、ハンディのある環境におくことによって、はじめて「特別な支援とは何ぞや」と感じた体験でした。誰かを支えさせていただく時に、その体験を忘れないようにしています。

今回のAPAで、その先生に会えるかな・・・と思っていました。昨年、参加されていたのですが、あいにく会えなかったからです。その先生に久しぶりに会って、「あの時は心からうれしかった。感謝しています」とお伝えしたいのです。

けれど、プログラムを見てみたらその先生の名前はなく・・・(泣)

プログラムを見て、とってもがっかりしました

その先生と会えるまで、これからもAPAで発表し続けなくてはいけないですね