T中でのSSTの授業が今月に入り、連続してありました。
スクールワイドでのSST実践を行ったのが2年前。2年前は大学が用意した指導案を先生方が実践するスタイルをとりましたが、それ以降は先生方の主体的な取り組みを尊重するという次のステップに移行し、昨年度からは先生方が指導案を作成して、それを実践するという流れになっています。私はSCとして学校に行った時に、面接が終わり夕方からの先生方との打ち合わせの時に、S先生が「指導案を作ったんで見て下さいよ~」と、学年部会で話し合った指導案を持ってきてください、ちょこっとコメントするくらいのお手伝いしか必要ありませんでした。
なんやかんやと3年目。3年生にとっては、3年間SSTを通してやったことになります。今年の単元の大テーマは、「敬意を払うスキルを身につけよう!」です。道徳の時間を使っているため、SSTと道徳の授業展開がブレンドされたような感じで、3回の授業に分けて行っていました。
1回目の授業は、話し合いを通して「相手の気持ちを考える」という内容でした。教師の投げかけは、「人はどんなときに、相手のことをすごいなと感心した気持ちを持つのだろうか」、「人はどんなことで悪口を言い、お互いにからかうのか」ということを、グループで話し合い、相手の考えを聴き、自分の考えを伝えることをやりました。これは「10代を育てるためのソーシャルスキル教育」で「セッション8 敬意を払うスキル」の授業案の中にあるリハーサル部分になります(P139)。「相手の気持ちを考える」というテーマから考えると、このなげかけを最初の授業に持ってきて、自分の行動などを見詰めなおさせるところからスタートしています。
2回目の授業が、「自尊心を高める」です。私はこの授業は見学することができました。この指導案は、拙著のP130のセッション7に基づいています。
授業の冒頭で、
S先生:「自尊心とは、自分を尊敬する心だけど、みんなどうかな?」
Aさん:「ないよー」
Aさんは、すっと、しかも真面目にS先生のなげかけに応えていました。Aさんの日常生活を思うと、意外なことばではなく、そういう生きにくさがあるんだとこちらも素直に理解できることばでした。
S先生から、自尊心には、自尊心を高めてくれる”肯定的な面”と、自尊心を低める”否定的な面”があるという説明がありました。
次に、自尊心について説明をしたあと、S先生は教師の語りとモデリングを兼ねた”自尊心についての教師の語り”があります。S先生は、趣味のバルーンバレーの試合で、メンバーと一緒に頑張って試合をしている様子をビデオで見せながら、頑張って仲間をプレイすることや、仲間にありがとう!と言われることなどが自分の自尊心を高めてくれることを生徒たちに話していました。S先生のビデオを見ながら、生徒はいろいろとつっこみを入れていたりしていましたが(笑)、みんな食い入るように画面を見ていました。
そして、”自分のいいところを探そう”ということでワークシートに沿って、「自分自身がどんなことで自尊心が高まるのか、友だちは自分のことをどのように感じているか(理由)」について記入していきます。自分のいいところを友だちに話し、感想を聴くこともしていきました。
生徒たちの様子を見て感じたのは、いいところが探せない、もしくは記入することがためらわれる生徒がいることです。ためらわれる生徒の場合には、話をしながらやりとりしていくと結構書いていけるのですが、見つけられない・わからないという生徒の場合には、丁寧なかかわりが必要だと思いました。ワークシートに書けないでいたある生徒さんと話をしていくと、大好きなワンちゃんがいること、そのこのお世話をしていることなどが話されました。
kobayashi:「わんちゃんがうれしそうに尻尾をふるとどんな気持ちになる?」
生徒:「うん、うれしいよ」
kobayashi:「それは自尊心を高めてくれることになるかな?」
といったやりとりなどをしたりしました。
最後のまとめの感想では、「なるほど」と思うような感想もあり、いつものことですがSSTの授業をやった後、子どもたちの反応の豊かさに驚かされます。これがある意味たまりません(笑)
次は、「敬意を払う」について書きたいと思います。