APA

トロントにいます。

今日は、APA1日目でした。プログラムを見て、自分の興味のある分野のセッションがあるかどうかを確認するだけでも一苦労です。

インターネットを介したいじめに対象するプログラム、podcastを使った学習方法など、新しい試みなどが結構多いです。また、トラウマ関連の研究発表も非常に多いです。戦争の紛争地域の違い?、そして帰還兵のケアなどがシンポジウムとして取り上げられています。日本の学会ではなかなか触れられないテーマです。

トラウマの臨床に関しては、やはりCBTが多い印象を受けています。APA全体でも臨床系のテーマが多い感じで、領域の偏りを感じています。

明日はいよいよ発表です。AMEから1か月おいての発表なので、国際学会の雰囲気にもだいぶ慣れてきました。がんばってきます!

SST校内研修

先日、SCとして勤務しているT中学校の校内研修がありました。

昨年に引き続き、SSTを実践するのですが、今年はさらにSSTを教育課程に位置づけています。より先生方が「自分のもの」としていただくために、どのような研修をやるとよいかについて研修主任の先生と話をしていました。

昨年度は、こちらが用意した指導案をベースとして、個々の先生のアイディアを取り入れてもらい授業を行ってもらいました。けれども、どうしても先生が「受け身」になってしまうという課題がでてきました。なので、今年度は、1から指導案を作って頂くことにしました。

まず、6月にmmm先生がSSTの模範授業をやってくださいました。それを先生方全員で参観しました。そしてその後に事後研を行って、今年から新しくいらした先生方にSSTとは何ぞやという解説と、昨年度からいらっしゃる先生はSSTに関する知識をもう一度再確認する作業を行いました(この解説は私が担当をさせて頂きました)。

そして7月に入り、学年ごとに、子どもたちにアンケート調査を実施して実態把握をしました。その結果をまとめて、その結果を基に、子どもたちに身につけさせたいスキルを先生方が話し合いました。そしてそのスキルを基に、学年の先生が2つのグループに分かれて、指導案を作成しました。ここまでが研修主任の先生が中心となって、先生方だけで行いました。

その力作の指導案が、研究室のFAXにガンガン送られてきた時はびっくりしました(笑)。ただ、共通してみられた課題点として、モデリングの構成の仕方がありました。

悪いモデル→どこが悪いか指摘させる→どうすればいいか考えさせて→指摘させる

という流れでした。これはOKです。

ただ、望ましいスキルの「型」をもう少し練る必要がありました。

これを明確にすることで、授業で生徒に何を伝えたいのか、身につけさせたいのかが教師もはっきりしますし、子どもたちも理解しやすいからです。

例えば、「いやな申し出についてはっきりと断る」というスキルであれば、

非言語的なポイント(目を見る・真剣な表情・・・etc)

言語的なポイント(「いやだよ、やりたくないよ」)

何をどうするとよいのかを、生徒たちの発言から指摘されてことがいいのですが、それが出てこない時に、「こういう点もあるよね」と教師から提示する必要があります。

なので、オリジナルで指導案を作成する場合には、「何をどのようにすると望ましいのか」という点を、教師がはっきりとイメージしておく必要があります。

そこで、そのポイントをもう少し明確にしてもらうために、各学年で話し合って頂きました。さすがに、少し説明しただけで、何を言いたいのかが先生方が理解して下さっている感じを受けました。1回きりの研修を担当した時と、全く違う感じです。ここまで来ると、「先生自身が自分でSSTの指導案を作成することができてくるんだよな・・・」、と思いました。

各学年でディスカッションして頂いた後に、全体で共有するために板書をしてもらい、それぞれにコメントをしました。先生方がホワイトボードに書いた生徒に身につけてもらいたいスキルを眺めると、共通したテーマとして、やはり「感情」をどう扱うかが大きく関与していることがわかりました。特に、「怒り」です。

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確かに、SCとして生徒たちと関わる中で、この「怒り」の感情の扱いは本当に支援すべきテーマの一つです。先生がといろいろと協議し、指導案が固まってきました。実践は、9月、運動会が終わってからスタートの予定です。10月下旬には公開研究授業(注 本校は文科省もしくは委員会の指定校ではありません)が行われる予定です。

昨年に引き続き、私も相談室・保健室のSSTもやりたいな~と思っています。楽しみです

ユトレヒトで・・・

無事に学会発表を終えて帰国し、毎日ドタバタと日常業務に追われています。

現地で何度かブログをUPしようとしたけれど、アップロードするたびにブログサーバーのエラーになるので、泣く泣くあきらめてしまいました(笑)。結構、研究モードの長文の記事を書いたのだけれど・・・

発表には何人かが質問にきて下さいました。

「どうしてこの内容にしたのか?日本の学校現場をふまえてこうしたのか?」とか。

日本の学校現場でALTをやったことのある方は、セッションの内容の中に感情のコントロールが含まれていることについて

「日本人は、怒りの感情をあまり出さずにコントロールしているように感じている。なのに、こうした課題をやるのはどうしてか?」

文化差などについてもお互いに意見を出し合って話すことができたので、面白かったです。

会場となったユトレヒト大学は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると・・・

「ユトレヒト大学(ゆとれひとだいがく、Universiteit Utrecht)はオランダユトレヒトにある大学。1636年に設立され、オランダの大学としてはライデン大学に次ぐ古さを誇っている。また、ヨーロッパの大学としても最も規模の大きな大学の一つである。1584年に設立されたユトレヒト市図書館は、大学の設立と一体のもので、これはオランダ北部では最大規模のものである。2004年の時点で、大学の26,787人の生徒、8,224人の教授陣を有する。」

とある。

「1636年」・・・「日本だといつの時代?」と、調べてみた。

徳川家康が江戸幕府を作ったのが、1603年・・・。家康の時代に建てられた大学、しかもその建物をふつーに使っているのだ。それにびっくりだった。さすがヨーロッパ。

なので・・・・・・

会場のある部屋の写真。どう見ても、本棚です。

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でも、本棚中央の黒いプレートを見てみると・・・・

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「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「トイレ????!!!!」

半信半疑でドアを開けてみると・・・・

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そこにはしっかりトイレがありました(笑)

改修する時に、本棚のようにカバーしたのでしょう(笑)

誰もそこにトイレがあるとは気がつかず、会場の誰もそこに入っていく人を見かけませんでした(少なくても私がそこにいる時には・・・)。

最近、北米やアジアが多く、ヨーロッパに行くのは10年ぶりでした。アメリカと違って、ヨーロッパの落ち着いた雰囲気がとてもいいなあ~と思いました。

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ユトレヒトは、ミッフィー(オランダ語で、ナインチェと言います)の作者ブルーナーさんがお住まいの町です。もちろんミッフィー美術館に行きました。そこのプレイルームのようなところで遊んでいる子どもたちのかわいいことといったら!言葉が通じないのですが、また子どもたちに絡んで、少しだけですが遊んでもらいました(笑)

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いよいよ

いよいよ。

週末、静岡県臨床心理士会の総会が開催されました。そこで、県士会の被害者支援委員会の委員長の役を正式に仰せつかりました。

被害者支援委員会を運営していくにあたり、個人的にこの方に入って頂きたい!と思う方々、一人ひとりに電話をして、委員になっていただけるようお願いしました。ありがたいことに、みなさん、快く引き受けて下さいました。

普段は、病院、児童相談所、教育センター、県警、スクールカウンセラー、など、様々な場所でカウンセリングに携わってくださっている方たちです。そして被害者の立場になる方を支える最前線にいらっしゃいます。

被害者支援委員会は、事件事故だけでなく、静岡の地域的な課題である東海地震の際の支援体制の検討も大きなミッションとしてあります。これから、このメンバーで様々な活動を推進していく予定です。

総会の後、委員会を開催し、その後、懇親会をやりました。被害者支援委員会のメンバーは、体育会系臨床心理士であることが判明しました(笑)。被害者支援は、技術はもとより、心も、そして体も健やかで、それが「保てる」ことがとても重要です。そして、まず自ら「動ける」「入っていける」ということも大切です。

新しいことができるメンバーで委員会が始動しました。とてもワクワクしています。

そして、いよいよ。

明日、オランダに行ってきます。

AMEでの発表です。日本の学校でしか英語を学んでいないので(しかも公立校only)、準備にも四苦八苦しましたが、どうにかプレゼンの準備は終わりました。ベストは尽くせたと思います。

あとは持ち前の度胸(?)で、どうにかなるでしょう(笑)。

ネット環境がよければ、向こうの様子をUPしたいと思っています。

それでは行ってきます!

「VLF思いやり育成プログラム」の本が発刊されました

渡辺弥生先生が編者をされている「絵本で育てるソーシャルスキル」が発刊されました。

この本は、渡辺先生がハーバード大に短期研修に行かれた際に、セルマン先生から指導をもらって日本に紹介した「VLF思いやり育成プログラム」に基づいています。

渡辺先生によるとこの本のコンセプトは、「普段の子どもたちによく見られる18のトラブルを取り上げ、具体的にどのようにかかわったらよいかについて、VLF思いやり育成プログラムという方法でアプローチしました。このプログラムのポイントは、ソーシャルスキルの考え、思いやりの心を育む、絵本を使う、の3つにあります。子どもたちが大好きな絵本を使うことで、いろいろな人たちとうまく生活していくために必要なソーシャルスキルを楽しく学ぶことができます」、とあります。

私はこの本で、「友だちにいじわるをする子」「友だちを助けてあげない子」「友だちが傷つくことをする子」を担当させて頂きました。この原稿を書くためによい絵本はないかといろいろと調べたり、読んだりしました。その時に気づいたのが、「いじめられっ子」が主人公の絵本はあっても(例えば、からすたろう)、「いじめっ子」が主人公の絵本がないこと。いじめっ子が、ある出来事をきっかけに自分がしてきたことを振り返る・・・といった内容の絵本がないかといろいろ探したのですが、結局、私のリサーチで見つからなかったのです(もし「こんな本があるよ!」という本があればぜひ教えてください!)。いじめっ子の心情、そしてその心情の変化に触れるものがあってもよいのにな・・・と思います。

VLFはここしばらく実践していませんが、以前、mmm先生が「裏庭での出来事」という文部科学省作成のビデオ教材を用いてやってくださったVLFの授業は今でも私にとって印象深い授業として残っています(今でもなぜあの授業を録画しなかったんだろうと後悔しています)。VLFは、SSTとはまた異なる雰囲気、そして深く、子どもに迫る授業になるのですが、教材研究によって授業者の力量が出やすいのと(これはどの授業でも同じかもしれませんが)、一つの価値観を教える道徳の授業と違って、様々な意見が出てくることによる道徳との違いが先生方にとって少し違和感があるようです。ただ、小学校の先生にはとてもなじみやすいプログラムです。

久しぶりにVLFもやってみたくなってきました。そして興味のある方はぜひお手元に1冊、ぜひ

国際学会の舞台へ

今年度は、これまでにやったことがなかったことに挑戦する。

それは、国際学会での発表。もちろん、英語・・・。

国際学会で筆頭発表者として発表するのは今回が初めて。なので、とまどうことがあった。

日本の心理系の学会では、学会発表に関して事前の審査はない。なので、会員が発表したいと手をあげれば、誰でも発表できる。けれども、今回発表する2つの学会は、事前審査があり、英文のサマリーを送ってそこで採択されて、初めて発表できるシステムなのだ。

英文を送ってから審査結果が出るまではどきどきだった。特にAPAは審査で落とされることも多いと聞いていた。世界中から発表する人が集まるのだから、ある意味審査をしないとすごいことになるのだろう。

お陰さまで2つの学会とも採択され、発表することになった。

まず7月に、Association for Moral Education (AME)で発表する。

内容は、昨年度取り組んでいたT中のSST実践について。

Kobayashi,T. & Watanabe,Y. (2009)The practice of social skills training in a Japanese junior high school: A focus on “emotion”

8月には、American Psychological Association(APA)で、四川大地震被災地での日本チームの支援活動について発表する。

Kobayashi,T. Yuanhong Ji, Tominaga,Y. &Takahashi,S. (2009)Japanese Psychological First Aid of Sichuan earthquake in China

冨永先生、高橋先生を初めとする先輩方が実践してこられた日本の被災地支援の方法は世界で誇れるものだ。だけれど、なかなか世界(特にアメリカ)に向けて発信する機会がなかったようだった。なので、第一次派遣からの盟友 吉先生と「アメリカに向けて日本の被災者支援をアピールしたいね」と前々から話をしていた。先輩方の業績をアメリカの研究者、実践家に伝えたかったのだ。

心理療法をはじめとして、トラウマケアなど、日本の臨床心理学においてカウンセリングやアセスメントの多くが「輸入もの」だ。四川の被災地に行くまでは、そこにあまり違和感を感じてはいなかった。けれども四川での支援活動で、ディブリーフィングを適用することによる弊害、「死」という宗教的な背景がどうしても避けられない場面に出くわすことが多かった。その時に、文化的背景、生活習慣、宗教が異なる環境で編み出されたケアのやり方が、すべての地域、国でそのまま適用されていいのか・・・その理論だけが正しいのか、その理論だけがケアの手法なのか・・・と疑問がわいてきた。

アジアはアジアの文化がある。災害の多い日本だからこそ、そしてアジア人だからこそできるケアのやり方がある。こうしたケアのあり方(特に被災地での支援方法)を、日本はもっと欧米(特にアメリカ)に伝えてもいいように思うのだ。

私はまだ先輩方の受け売りのレベルなので、大きなことは言えない。ただ、先輩方の実践を伝えることは私たちにもできる。若武者(!?)は、敢えてアウェイで戦うのだ(笑)。

そのためには、語学力・・・(泣)

ただいま、気合を入れて頑張り始めているところです

本を頂きました

同じ教育学部で生涯学習をご専門とされている渋江先生から、翻訳本「成人女性の学習」を頂きました。渋江先生はアメリカの生涯学習の実践家についての研究をされています。「人生、死ぬまで勉強だ」と思っているので、成人した女性がどのように学習を進めていくのか興味があります。女性のアイデンティティ形成などが解説されている章もありました。拝読させて頂こうと思っています。 Capmcr7n

あと、私が書いた本も出ました。年明け早々、執筆していた本で、「改訂 ヒューマンサービスに関わる人のための教育心理学」です。

虐待に関するところを書かせて頂きましたが、法律などが数年でバタバタと変わっていて、それを理解するだけでも大変でした。それだけ、社会の状況がシビアということなのですが・・・。

今年は、例年にも増して、執筆が多く、今はSSTに関する本の原稿を抱えています

執筆している時は産みの苦しみなのですが、完成した本を見るといつも書いてよかったなと思います。がんばるぞ~

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SSTプロジェクト完全終了!

先月半年にわたるT中SSTの授業が終わった。

始めた時はまだまだあるような感じだったけれども終わってみるとあっと言う間の半年だった。途中とてもきつかった時があったけれど、TAの学生も先生方も誰も辞めなかった。最終的には全17クラス、そして保健室相談室登校の生徒にも、参加できるすべての生徒たちが全6セッションに取り組むことができた。

教育委員会の研究指定でも何でもないにもかかわらず、担任の先生みんなが全6セッションをやりきって下さった。入試などいろいろなことがあるので途中で中止になるクラスがでることは覚悟していたのでうれしい誤算だった。先生たちの努力にただただ頭の下がる思いだ。

生徒たちが「先生!今日はSSTじゃないの?!」と言ってきたり、生徒の変化を感じるようになってきてこうしたプログラムもありだなと感じたということを話してくれた先生もいた。とにかく中学校全体で取り組んだことがある意味すごいことだよ!と励ましてくれた先生もいた。

とにかく大変な状況の中、学生達と共に走り抜けたような時間だった。いつも頑張って準備をしてくれていた学生たちの姿を見て、「私も頑張らなきゃ」と元気をもらった。TAの学生たちには心からの感謝の気持ちで一杯なのと一緒にあの仲間でやれたことを誇りに感じている。

終了後すぐに事後テストを先生方に実施して頂き、TA総出でデータ入力をしてそれも終えた。そして今日、法政大学の渡辺先生の研究会で学生たちと発表をした。これでこのプロジェクトは終了だ。あとは私がデータ解析などをして、教育心理学会で発表するだけとなった。終わった〜!という思いと、これで終わりなんだという寂しさとが混ざって、今は少し複雑な気分…。

先日のTA打ち上げ会の時にTAのみんなから写真付きのアルバムを頂いた。Cazkentu

本当に想定外のことだったのでびっくりした。だけれどもジワジワと彼等に会えて一緒に取り組めてホントによかったという感動が染み渡ってきた。嬉しかった。教員をやっていてよかったと思えた。ずっと大切に持っていようと思うし、学校現場に巣立っていって成長した姿が見られるのも本当に楽しみだ。

Ta_photo1とにかく、半年間本当にお疲れ様でした!

そしてT中の生徒のみなさん、先生方、法政大学の渡辺先生と学生のみなさん、本当にありがとうございました!

SST前半終了

今日で、SSTの前半3回が終了しました。

いろいろと課題も多く出てきていますが、生徒の変化も出てきているので、がんばるぞ!という気になります(笑)。

私は5時間目の相談室・保健室の生徒を対象とした授業の授業者としてSSTをやっています。参加している生徒にも変化が出てきています。

先日・・・SCとして学校に行っていたとき、相談室で遅い給食を取っていました。そこに、相談室でSSTを受けている生徒と話しをしました。そしたら、「先生・・○○さんがたくさんおしゃべりしてくれるようになったよ。これもSSTの効果だよ。先生、がんばったね!」と、生徒からお褒めの言葉を頂きました(笑)。こうした生徒の言葉に元気をもらって、「がんばるぞ!」という気持ちになります

ある先生からは、「SSTの授業の後は、なんか生徒の様子がうるさいくらいに元気なんですよね」というコメントも頂きました。いろいろと課題も多いところが両手をあげて喜べないところではありますが、後半3回のセッションも先生方と一緒に頑張っていきたいと思っています。

先生方、そして静大TAのみなさん、前半戦お疲れ様でした!

障がいのある子どもの心のケアに関する研修会

今日は、静岡総合研究機構のSOE研究助成を頂いて、研修会を開催しました。今回は、県の養護教諭の研修会に講師でお招き頂いた時に、特別支援学校の養護教諭の先生方向けに口頭でご案内させていただいただけで、本当に口コミだけで広報をしただけでしたが、保護者の方、特別支援学校の先生方がご参加くださいました。また、いつもいつも応援してくださるきんもくせいのお母様方が、広報、そして当日のお手伝いまでして下さいました(特に、Sさんには感謝の一言につきます泣!)。お忙しい中、ご参加&お手伝い本当にありがとうございました。

研修では、昨年度まで一緒に共同研究をさせていただいた沼津特別支援学校との研究成果をまずお話ししました。

中越地震の被災地では、障がいのある子どもの心身の変化として、

①障がいにかかわらず、被災した人に共通してみられる変化(例えば、トラウマ反応、避難生活など慣れない生活に伴うストレス反応)

②障がいゆえに起こりやすい心身の変化(例えば、自閉症の子どもには奇声やパニック、こだわりが強くなるなど)

③命にかかわる変化(例えば、てんかん発作が起きやすくなるなど)

が見出されました。

そこで、対策を立てるキーワードとして、

「場所」→安心して避難できる場所

「人」→保護者が不在の時に安否確認してくれる人、片付けなど手が離せない時に少しだけでも子どもを見てくれる人など

「情報」→避難情報、安否情報など。これには受信をどうするかということだけではなく、子どもが一人でいる場合(特に通学時に被災した場合)に、どこにいるのかを子ども側からも発信できるようにする。

をどう確保するかと考えていくということを提案しました。

私は、心のケアを領域としているのですが、こうした防災関連の対策も「心のケア」を考えていく上でとても重要だと考えています。「場所」「人」そして「情報」の体制が事前に整えておけば、要らぬ不安や焦燥感は低減できると考えているからです。

参加してくださった静岡大学教育大学附属特別支援学校のPTAの方々、災害に関する調査を実施してそれをまとめていらっしゃいました。調査では、登下校中や学校での引き渡しに関して家庭でどのような対策ななされているか等について調べていました。静大の附属学校園で、こうした取り組みがなされていることにまずびっくりした!と同時に、頼もしい組織が身近にあったことにうれしくもなりました。灯台元暗しです(笑)。

あと、市内小中学校の特別支援学級に通級している子どもをお持ちの保護者の方もみえられました。研修後、「こんなことを考えてもいなかった。災害の時にどうするかという問題に気づかせてもらえただけでも、今日来てよかった」と口々におっしゃられて下さい、主催者としてとてもうれしく思いました。保護者の方と話をして、特別支援学校よりも、ある意味特別支援学級の子どもの方がなかなか障がいに応じた支援が行き届きにくいのでは・・・と思いました。

少しづつですが、学校の先生、保護者の方、そして地域の方と、静岡県に東海地震が来た時に、みんなで助け合えるシステムができるよう進めていきたいと思っています。